とある飛空士への夜想曲 下

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)

上巻に続いて、千々石の物語。
全編を通して、この戦争を、空戦を、しっかりと書こうという気持ちが溢れてた。前作や前々作のメインであった恋愛模様などの部分は最低限にまとめられてて、本筋は徹底的に空のバトルシーンを描き、まえがきにもあるように「趣味95パーセント」で書かれていた。
途中で「ああいう」ことになったから、たぶん「そういう」結末になるんだろうなとは思ったんだけれど、切ない終わり方だった。度々比較になるけれど、余韻、というか「書かない部分」を残して終わった前作、前々作とは違い、最後まできちんと書き切っての結末だったんで、ストレートに感動できて、とても気持ち良く読み終えることができた。
一般受けとしては前の2作のほうがよさそうだけれど、「追憶」を読んだ人にはぜひ読んでもらいたい作品。